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債券に対する株式の優位性を示す本〜株式投資

著者はジェレミー・シーゲル。インデックス投資の教科書本として、ウォール街のランダムウォーカーと並ぶ名著とされるが、同書の方が投資家に与える影響ははるかに大きい。

同書では、過去200年間に及ぶ株式・債券(国債)・金などの金融商品の利回りを調査し、株式投資こそ資産運用の基盤にすべきであることを証明した。20年単位ではほぼ確実、30年単位では100%、株式の利回りは国債の利回りを上回ることを示している。また20年単位なら、インフレ率調整後のリターンがマイナスになることはない(債券は最大で-2%)という点も、シーゲルが世に知らしめた功績だ。

但し、同書の中身をそのまま鵜呑みにしてはいけないことが、2点ほどある。一つは、同書ではインデックス投資こそが最適であるとされるが、続編である「株式投資の未来」では、バリュー株がインデックスを上回るというデータを示している。

この「バリュー株優位説」は、シーゲルの「株式投資」同書が発行された後、ジェームズ・オショーネシーが「ウォール街で勝つ法則」で発表したことも影響していると思われる。オショーネシーの説に従って再検証した結果、シーゲル自身もバリュー株の有効性に気づいたのだろう。そのため、続編でのシーゲルの最終結論としては、インデックスが半分、バリュー株戦略をもう半分に当てるのが最適ポートフォリオだとしている。

もう一つの問題は、同書で示されている株式リターンの計算方法は現実離れしており、実際のリターンはこれを下回ることである。

同書での株式リターンは「配当再投資」した前提で計算されているが、実際の投資家は、同じ銘柄に延々と再投資し続けることは少ないだろう。特に日本人投資家は、日本株の場合は単元制度があるため、相当大規模な投資でない限り、配当金で同じ株式を買い続けることは不可能である。また日本人が外国株を買う場合は、売買手数料が割高なので、少額で再投資するとコスト負担が大きくなり、やはりパフォーマンスは大きく下がってしまう。

また同書では、配当金に対する「税金」も考慮されていない。実際には配当金に10〜20%が課税されるので、再投資する際に増える株数は、データよりも少なくなる。

そのため、同書で示される株式の長期パフォーマンス(実質年率6.9%)より、実際のリターンは確実に少なくなるのである。同書のように、配当金は即時全額を再投資に回せ、かつ課税もされないという前提が成立する唯一の環境は、確定拠出年金の口座内だけである。

余談だが、シーゲルの新興国株式、特に中国株に関する記述は、意図的かどうかは分からないが、明らかに間違っている。この点については、続編「株式投資の未来」の書評で詳しく述べるとする。

債券に対する株式の優位性を示す本〜株式投資(ジェレミーシーゲル)、株式投資の統計本の最高峰〜ウォール街で勝つ方法(ジェームズ・オショーネシー)、珍しい海外個別株投資の本〜みんなが勝てる株式投資、景気循環と株価を説いた本〜相場ローテーションを読んでお金を増やそう、賢者の海外投資術(橘玲)、会社四季報で学ぶ株式投資のための会計入門(井口秀昭)、バフェット式・投資の原則(三原淳雄)、ファンダメンタルインデックス(野村アセットマネジメント)、ダウの犬投資法(マイケル・オヒギンス)、大逆張り時代の到来(ジェームズ・オショーネシー)、景気ウォッチャー投資法入門(野田聖二)

 

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